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労働新聞 2007年6月25日号 通信・投稿
映画紹介
「ヒロシマナガサキ」
(07年、米国)
「もう被爆者を生まないで」
願いの結晶
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「ヒロシマ、ナガサキ」は、人類史上初めて核兵器が実際に使用された場所として国際語と言えるほど有名だ。しかし、その被害の実態までも世界の人びとに知られているのだろうか。
この映画はアカデミー賞受賞経験もある日系三世のスティーヴン・オカザキ監督が二十五年をかけ、五百人以上の人に会い、取材を重ねてつくり上げた労作だ。
映画では、十四人の被爆者と原爆投下に関与した四人の米国人の視点を通して、「原爆の被害」がさまざまな角度から重層的に描かれている。凝った演出など何もない。淡々と続く証言と貴重な記録映像が、静かに見る者に衝撃を与え、恐怖を伝え、心を奪う…原爆投下後の被爆地の想像を絶する地獄絵図。生き残った人びとの体に深く刻まれた傷跡と放射線障害による病気、そしてさらに深く刻まれた心の傷跡。病気と貧困、加えて社会の差別と無理解の中を歩んできた六十年以上にわたる人生。
そして一人の被爆者は言う、「心と体の両方に傷を背負いながら生きている。苦しみは、私たちでもう十分です」と。また原爆投下にかかわった元米軍人は言う、「イラクに核兵器を落とせ、なんてことを簡単に言うやつがいるが、何もわかっていない」と。
英訳の「はだしのゲン」を読んで広島・長崎の原爆投下に関心を深めたという監督は、「原爆の被害に対する認識と関心を、世界に呼び起こしたい」と本作に取り組んだという。また原爆投下六十年を経て、被爆者の高齢化と核拡散の危機を前に「今すぐ作らなければ、今伝えなければ」という強い思いを胸に作られたという。
映画は、まさに被爆者と監督の「再び核兵器が使用されないように」という強い思いの結晶だ。
この映画は今年の八月六日、米国の大手有料ケーブルテレビ会社により全米に向けて放映される予定だという。
世界には今、広島に落とされた原子爆弾四十万個に相当する核兵器があると言われている。当然、米国がその多くを抱えている。
世界から核の恐怖を取り除くためには、米国の核軍縮・廃絶が絶対条件だ。そのためには米国民自身が核兵器の真実を知り、反核の声を上げなければならない。「ヒロシマ・ナガサキの真実」を包括的にわかりやすく描き出しているこの映画が果たしうる役割はきわめて大きいと言える。
もちろん、戦争の記憶が薄れ、軍事大国化と戦争美化が押し進められているこんにちの日本の国民も真っ先に見るべきだろう。(U)
七月二十八日より全国公開
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