労働新聞 2007年6月15日号 通信・投稿
サービス残業、労働強化… 利益優先、違法体質のコムスン
まずスタッフの待遇改善を 「スタッフも被害者だよね」
元コムスン労働者 大城 涼子
不正に事業許可を受けていたとして行政処分を受け、連日マスコミをにぎわせている介護事業大手のコムスン。親会社グッドウィルのトップの折口会長がテレビ番組での釈明に追われ、マスコミは会社の体質がいかにひどいかを繰り返し報道しています。私は昨年までコムスンでヘルパーとして働いていたので、今回のニュースを聞いて「やっとか」というのが第一印象でした。 ◆スタッフは全員非常勤 私が働いていた施設では、管理職と正社員の二人を除き、現場のスタッフ全員は非常勤でした。設備は立派でしたが、利用者のことをいちばんに考えているのか疑問に思うことも度々でした。管理職が一年に四回も替わって現場が混乱したり、管理職不在で営業していたこともありました。 また、スタッフの扱いもひどいもので、サービス残業も多くありました。いちばんひどかったのは会社の都合で非常勤の出勤日数を突然半分に減らされたことです。時給で働いている非常勤にとって月に何日働けるかが即、手取りに響くことなので重大です。しかし、会社はそんなこともおかまいなしで、人件費を減らすため一日に配置するスタッフの人数を減らす、そのためには非常勤の出勤を減らすということしか考えていませんでした。 このことによって、一人あたりの仕事量は増え、肉体的にも精神的にもきつくなり、その上、給料は減るという最悪の状況になりました。何より、利用者さんに「最近、バタバタしていて話も聞いてもらえない」と言われたときには悲しくなりました。 このようにコムスンは利益優先で、利用者や職員のことは後回しにする会社です。今回の処分の理由は不正な事業許可ですが、それ以外にも労働基準法違反や介護保険の不正請求など数えあげれば切りがないほどです。私と同じくすでに辞めた職員から電話があり、「スタッフも被害者だよね。どれだけ失業者が生まれるのよ」と怒っていました。 ◆介護保険がおかしい ただ、コムスンだけの問題だろうか。私はそうではないと思うのです。たしかにコムスンはひどい会社です。しかし、どこの介護事業所も経営が大変になっています。民間会社が乱立して競争が激しい上、昨年には介護保険制度の「改正」によって、保険から下りてくる介護報酬の単価が引き下げられてしまったのです。この中でどう生き残るのか、どの事業所も必死です。 私の町では、どこそこの会社は市から仕事(利用者)を回してもらうために役所にワイロをもっていっているという噂があちこちで聞かれます。不正を行っているのはコムスンだけではないのです。厚生労働省は行政の監督責任を強化すると言っていますが、「今さら!」というのが実感です。 根本的には、利益追求の民間会社に介護を任せる介護保険制度そのものがおかしいと思います。介護は公共サービスなので国や自治体が責任をもって行うべきで、今の制度はもう限界ではないでしょうか。 少なくとも民間会社に適性な利益が保証される介護報酬にしなければ、第二、第三のコムスンが出てくるだけだと思います。実際、コムスンの譲渡先といわれるニチイにしても、不正請求の前科がある企業ではありませんか。 そして、なによりヘルパーの待遇改善なしには本当によい介護サービスは成り立たないと感じます。ヘルパーが元気に働けてこそ、高齢者に満足なサービスが提供できると思うのです。