労働新聞 2007年5月15日号 通信・投稿

知ってほしい 在日朝鮮人への迫害

警察の暴力、公安情報
垂れ流すマスコミ
顔蹴られ、傷だらけの同胞たち

李 紀哲

 私は在日本朝鮮留学生同盟(留学同)の同盟員です。留学同は日本の大学・専門学校に通う在日朝鮮人学生が朝鮮語や朝鮮の文化、歴史を学ぶなど自らの民族性を高め、互いの交流を深める大衆的な学生団体です。この場で初めて同じ在日朝鮮人の友達ができ、初めて民族と出会った学生もたくさんいます。
 四月二十五日、安倍政権と警察当局は「拉致問題」を新たにねつ造し、三十数年前の「事件」とは何の関係もない留学同中央本部事務所に対する強制捜索を行いました。
 昨年から不当に行われている朝鮮総聯関連施設の強制捜索が、ついに私たち留学同にまで及びました。「留学同に強制捜索が入った」という一報を私が聞いたのは朝八時五十五分のことでした。当事者である私が知ったときにはすでにインターネットで「強制捜索」のニュースが流れていましたし、警察が文京区の事務所に押し入った時にマスコミがだれよりも早く駆けつけていたそうです。毎回このように強制捜索の情報がマスコミにリークされていることからみても、安倍政権が「拉致問題」を政治的に利用していることがわかります。今回の件に関しては安倍首相の訪米を前にした米国に対する一種のアピールだったと、容易に考えられます。
 私が急いで現場に駆けつけた十時時点でたくさんの同胞が警察ともみ合いになっていました。約四時間に及ぶ強制捜索の間、外ではもみ合いが続き、同胞たちのシュプレヒコールが鳴り響きました。その過程で無抵抗の一人の同胞が「公務執行妨害」の容疑で不当にも逮捕され、地面にうつ伏せに押さえつけられ顔面を蹴られ、手錠をかけられてパトカーに乗せられていきました。駆けつけた留学同のOBも警察に取り押さえられ、メガネを壊され、体中傷だらけで着ていた服もボロボロにされていました。
 その他にも多くの同胞が負傷して、雨の降った地面には踏みつぶされたメガネや多くのものが落ちていました。まさに公権力を乱用した無差別テロにほかなりません。たくさんの総聯関係団体が入っている文京区の会館ではこの間、建物内に入れず一切の業務を停止させられました。
 その場にいた警察は、何もしていない私たち在日朝鮮人を「犯罪人」でも見るかのような見下した目つきで「弾圧」を加えました。警察が持ち去った物品は「拉致事件」とはなんら関係のない最近の行事の写真データや、留学同機関誌のデータばかりです。

関東大震災時と変わらぬデマ報道
 昨年から続く強制捜索でさらに許せないことは大手マスコミの報道です。
 特に読売新聞では留学同を「工作員の供給源か」といった大きな見出しで今回の強制捜索について大々的に報道しました。これは明らかな公安情報の垂れ流しであり、日本の世論を「朝鮮総聯は犯罪団体」であるかのようにミスリードする、まさに言論テロと言わざるを得ません。読売新聞社に抗議電話もしましたが、ただ話を聞いているだけで何の反省も謝罪も見せずに、最終的には途中で電話を切られました。
 このような報道によって昨年十月から全国の朝鮮学校に通う児童、生徒に対する暴言、暴行事件が報告されているだけでも百六十件以上にも及んでいます。
 日本による朝鮮植民地支配からこんにちに至るまで、在日朝鮮人に対する日本当局の根本的な政策、民族差別、排外主義というものは変わっていません。関東大震災時には天災にも関わらず、この混乱を新聞などを通じて朝鮮人が暴動を起こしたとデマを流し、何の罪もない六千人近い朝鮮人が無残にも虐殺されました。
 今も昔も変わりません。私自身も含めて在日朝鮮人がいつ犠牲になってもおかしくない状況まできていると思います。日本当局は植民地支配の被害者である在日朝鮮人を排除しようと弾圧を加え、朝鮮総聯をなくそうとしています。
 このような安倍政権と警察当局に対する弾圧に私たち留学同は決して屈せず、これまで以上に多くの在日朝鮮人学生と自らの組織と民族を守り、広範囲な日本人と連帯してこれからも活動していくでしょう。


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