労働新聞 2007年4月25日号 通信・投稿

日豪EPAなら大打撃
農民とも連携しなければ

いっしょに働く下請け・
非正規労働者
「俺のボーナス3万円」

食品製造工場労働者 池崎 和正

■いつの間にか終わった春闘
 今年の春闘が終わった。労働組合はベア一%を要求したが、会社の回答はゼロ。定期昇給のみで妥結した。定期昇給は四千円程度だ。一時金は年間六カ月の要求で五・二カ月で妥結した。組合執行部と会社の交渉だけの春闘で、ストを打つこともなく、いつの間にか終わっていた。
 しかし、定期昇給は五十歳以上の社員はゼロだ。組合は定年を五十五歳から六十歳に延長する条件として、五十歳以上の定期昇給カットで合意したからだ。会社は「評価制度があるからがんばれ」というが、評価されて給料が上がったという話はほとんど聞いたことはない。
 工場の社員は七十人ほどだが、半数は五十歳代だ。四十歳代が少なくて残りは三十歳代となる。構成がアンバランスで、団塊世代が大量退職していけば、仕事を引き継ぐ人たちがいなくなる。今年は四月から新入社員が一人入社してきただけだ。会社は何を考えているんだろう。
 工場は二十四時間稼働しており、仲間意識がなかなかつくれないのはさびしい。交代勤務で帰る時間がバラバラだからだ。その上、みんな車で通勤するので、「いっぱいやろう」という場も持てない。車通勤によって人間関係がつくれなくなった。電車で通っている人もいるけど、工場が移転したことで通勤時間が二時間近くかかるようになった人もいる。これまた、時間に追われ帰宅を急ぐことになる。
 昼休みの食堂でも、交代勤務の人とは昼食時間が違うから顔を合わさない。五十〜六十歳の年配者は昼休みは娯楽室で寝ている。みんな疲れているんだ。どうやって働く仲間の団結をつくっていけばいいんだろうか。

■別部門は大多数が非正規
 工場の敷地内に包装部門があるが、そこはまったくの別会社になっている。別会社の中に下請け、孫請け会社が入り、働く人たちの雇用形態もパート、派遣、契約社員となっており、端で見ていてもよくわからないほどだ。この部門も二十四時間稼働している。昼間はパートの女性が多いが、夜勤はほとんどが中高年男性だ。若い人はほとんどいない。リストラされた中高年が、仕事がないからとりあえず夜勤の仕事に来ているようだ。サラリーマン風の人が日給九千円で働いているのを目にしたりする。
 俺が働いている場所にも下請の派遣社員が入っている。給料も違うし、労働条件も違う。世間話はするけどなかなかうち解けられない。「社員はいいな、ボーナス相当もらっただろう。俺は三万円だ」と言われたりする。賃金も低いから、出入りも激しい。顔を覚えたら、いつのまにかいなくなり、違う人が入ってきたりする。
 派遣社員には昼食代の補助も出ない。社員食堂は高いからと言って、お弁当を持ってきている人も多い。福利厚生の面でもまったくひどい状況に置かれている。
 派遣など非正規の人たちの労働条件をもっと改善しないといけない。そうしないと、労働者全体の労働条件がしだいに下がっていくのではないか。
 もともと労働者の権利というのは、長い年月をかけて闘う中で勝ち取ってきたものだ。それを、なし崩し的に取り上げられてたまるか。

■日豪EPAは大問題
 工場で使っている原料のほとんどはアジアやオーストラリアなどから輸入している。今、オーストラリアとの経済連携協定(EPA)を結ぶ話が進んでいる。貿易が自由化されると俺たちの工場は大きな打撃を受ける。
 それは原料を輸入して国内で製品化するよりも、低賃金で製品化した外国のものを輸入したほうが安上がりになるからだ。国内生産が縮小していき、生き残る工場はわずかになるだろう。
 会社側はこうした先行きの不透明さを理由にして「賃上げをがまんしてくれ」というが、ふざけるな。俺たちの生活だって先行き不透明で大変なんだ。
 EPAは日本の農民にとっても死活問題で、反対運動も始まっていると聞く。日豪EPAが調印されれば、俺たちの工場の大リストラも予想される。農民といっしょにEPAに反対していきたい。


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