労働新聞 2007年3月15日号 通信・投稿

こんなにひどい派遣の待遇
政治が間違っている

なぜ雇用保険に入れない?

派遣労働者 栗山 淳治

◆賃金は半分、派遣の労働条件に怒り
 私は現在、「派遣」として食品会社で働いています。それまで三十数年間、印刷会社で働いていました。「正社員」が長かっただけに、今はやりの派遣としての処遇にとまどいを覚えたり、あるいはその労働条件の不当さに怒りを感じています。
 賃金は現在、以前のところと比べて約半分になっています。これは、派遣であり、年齢からもまあ仕方のないことでしょう。しかし、最近どうしてもがまんならないのが雇用保険のことです。
 私の雇用は、二カ月ごとの更新です。しかし、同じ会社でもう一年半ぐらい働いているし、週に三十五時間以上も働いています。保険に入れる資格は十分あると思うので、ハローワークに相談に出かけました。するとそこの係の職員は「雇用保険は個人では入れないし、会社がどういう体制になっているかが問題だから、会社に聞いてください」と答えました。
 しかし、二カ月更新の私が派遣元会社に聞いたら、「あいつ、またそんなこと言っている。もう次は契約しない」と告げられてしまったらおしまいです。だから、「そういうことを会社に聞くこと自体が難しい」と言ってやりました。役所であるハローワークでは、企業に一体どういう指導をしているのか。
 現在の会社でも「派遣」は六十歳代の人だけではありません。四十歳、五十歳台もやっています。最も生活費がかかる世代なのに、有休もない、退職金もない、年金も払っていない。それで二十万円取れれば良い方です。それでどうやって生活するのかと、痛感します。
 正社員の時代は、給料から雇用保険、健康保険、厚生年金などが最初から取られていたのは、当たり前だった。だからいざというときの保険制度が一応ありました。
 しかし、現在のフリーターの人たちには、およそ保険がない。六十歳を過ぎたらどうなってしまうのかと思います。会社の方はもうかっているのに、そういう人たちを保険に入れない。私としては信じられない。
 フリーターに関して言えば、最近、フリーターが減ってきていると新聞ではいっています。しかし、それはウソで、調査対象を三十五歳で切っているとのこと。その周辺の労働人口が多く、しかも若い人の人口が減っているので、フリーター数が減ってきているのが真実のようです。実際にフリーターが「正社員」になっているわけではないのです。
 また現在の私には、有給休暇もありません。これも非常におかしなことです。当然、前のところでは年間二十日以上あり、私も大事な休みの日として、それをフルに使っていました。

◆国の政治を変えていかなければ
 今のフリーターや「契約社員」などという仕組みは、国の政策として絶対におかしいと思います。会社経営が成り立たなくなり、そういう時のやむを得ない選択として、一時的にフリーターなどを使うのは仕方がないかもしれない。ところが今、大手企業を中心に利益を上げてきています。その末端はどうなっているか、みなフリーター的なものになってしまっています。今日、明日の生活がやっとの低所得者が増えているのが実情です。
 これこそ政治に間違いがあると思います。小泉前首相や竹中元総務相が、末端の人たちの十五万円や二十万円の生活を知っているならば、理解できるでしょうが。百万、二百万円取っていれば、分かるはずがありません。頭で分かっていても、自分は体験していないのですから。
 最近、給食費が払えない何百万世帯の家庭のことが、新聞で話題になっています。給食費を払わなければ、本来、学校をやめさせることができるそうです。まさか実施している所はありませんが。例えば、母親が必死にパートに行っていても、給食代を払えないものは払えない。そんな生活状態では、給食代など払いたくなくなるのは当たり前ではないでしょうか。そういう払えない人が増えていることは事実です。そういう家庭の条件を、もっともっと底上げすればそういう現象は起こらないはずだと思います。
 そういうことに関連して、夕張市は、いまや悪い自治体の見本のように言われています。夕張出身の私としては非常に残念でなりません。もともと産炭地として栄えましたが、その衰退も国の政策転換によるものです。その後、いろいろ借金を重ねましたが、これも国の指導、誘導によるものです。それを国が補助せず、「破産」したからと突き放すのは、あまりにひどい仕打ちだと思います。
 労働条件も同じです。働くすべての人に年金、雇用保険に入れるようにしなければなりません。政治が変えるしかないと考えています。


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