労働新聞 2007年2月25日号 通信・投稿

50年続いた酒屋が廃業
景気回復なんてウソっぱち

「米騒動」起こさないと

佐賀 山田 直矢

 先日、「美肌の湯」として知られる佐賀・嬉野温泉に行ってきました。「長崎新幹線が開業すれば、新駅ができて、町の振興になる」と、佐賀県や地元自治体は幻想をばらまく宣伝を、税金を使って垂れ流しています。この町のある酒屋のご主人を久しぶりに訪ねました。
 商店街を通って、店のところまで来て、びっくり!ガラス戸が全部閉じられているんです。中に入ってみると、がらーんとしています。去年来た時は、酒瓶やケースがところ狭しと置いてあったのに。本当に寒々とした風景でした。聞けば、父親の代から五十年以上営業してきたのですが、去年の夏ごろに自主廃業したというのです。借金も残っており、中高生のお子さんも養っていかなければならないというのに…。
 しかし五十歳代半ばでの職探しは簡単ではありません。ハローワークでこれならと思って電話しても、声を聞いただけで門前払い。そして、やっとのことで、隣市のレストランの調理補助のアルバイトをみつけたそうです。「息子が福岡で奨学金を受けながら下宿している。あいつのアルバイトよりも時給が低いんだよ」と苦笑していました。

佐賀じゃないみたいな町が出現!
 佐賀では昨年十二月に九州最大規模といわれる約五万平方メートルの「ゆめタウン」が開店しました。電気、衣料、書籍、スポーツ、食料、薬、おもちゃ、ファストフード、全国展開の名の知れた小売店がだいたいなんでもそろっています。バイパスの橋を超えて佐賀の町が見えてきたところで、突然あらわれる、まったく新しい巨大な人工の町。「佐賀じゃないみたい」とよく言われてます。
 規制緩和の波に乗って、イオン系ショッピングセンター、セブン?イレブンなどコンビニ、それにドラッグストア(佐賀では「モリ」という福岡資本が破竹の勢いで増えました。薬以外に食品・日用雑貨なんでも売っています)などの開店がここ数年相次ぎました。
 一方で相次ぐ、昔からの商店の閉店。行政は「中心市街地活性化」なんて言いますが、この現実を前に空々しく聞こえます。つい先日、ゆめタウン関連の土地区画整理組合でも贈収賄で逮捕者が出ました。市議会議長も関係しているという話です。

規制撤廃でつぶされる町の酒屋
 酒屋さんをめぐっては、昨年九月から酒類販売の地域規制が撤廃され、免許があれば全国どこでも酒の小売ができるようになりました。コンビニや大型店はこぞって免許申請をしたそうです。その一方で、町の酒屋さんがつぶされてきたわけです。国も地方も、政治がどちらを向いているか、はっきりしています! 庶民の暮らしや営みを壊して、「ゆめ」も「美しい国」もありません。
 元酒屋のご主人がこんなふうに言っていました。
「景気がよくなったなんていうのも、安倍の再チャレンジなんていうのも全部ウソっぱちだ。昔の米騒動みたいなことが起こらないだめだ。これまでは商売人としてあなた方の労働新聞にいくらか関心も持っていたけど、今回、自分も新聞の本来の対象たる労働者の立場になったよ。こんな時こそあなた方の出番だし、がんばってくれ」と。


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