労働新聞 2007年2月15日号 通信・投稿

ネットカフェを漂流する
ワークングプア
日当6000円、ケータイが命綱

「足を伸ばしてゆっくり寝たい」

大阪市 末吉 俊輔

■ドキュメント番組に衝撃受ける
 ワーキングプアの問題が深刻化しているのは、多くの皆さんが感じていることと思う。 私もそんな一人だが、先日深夜、民放で放映されたドキュメント番組を見た。ネットカフェを転々としながら、何とか日雇いの仕事にありつき、ギリギリの生活をしている若者たちのようすがリアルにとらえられていた。
 この番組によれば、「彼らは親の離婚や失業、病気などで生活状態が転落し、はい上がれずにいる。アピールできる職歴や学歴などもなく、長く同じ職場にとどまることは難しい。彼らには職探しに専念するための金や住まいといった『ため』がない。また、若くて本来は働けるはずの彼らには、生活保護制度の適用は困難だ」とのこと。
 住まいをなくした彼らにとって、日毎、仕事にありつけるかどうかは、ケータイに連絡があるかどうかだ。一円でも節約したい彼らにとってケータイは命綱であるが、維持するのは大変といってよい。仕事の連絡があれば、ブローカーに指示された待ち合わせ場所でワゴンに乗せられる。
 現場に着くまでどんな仕事かわからず、さらにブローカーにピンはねされ、交通費込みの日払いが六千円。日常に必要な身の回り品は、駅のコインロッカーに預けている。寝床はもっぱら、夜間八時間八百円のネットカフェだ。この低料金のネットカフェには、シャワー設備がない。シャワーに入りたい時は、一時間四百円ぐらいの少し高めのネットカフェに入り、一時間だけ利用する。
 夕飯はもっぱら、ホカ弁の「のり弁・三百円」を買い込んで、ネットカフェで食べる。夕飯として半分食べ、翌朝の食事にと大事に残しておく。彼らの取りあえずの要求は、「足を伸ばしてゆっくり寝たい」ということだ。こんなようすが映し出されていた。
 さらに驚いたことには、こうした「ネットカフェ漂流者」をターゲットにした悪徳ビジネスが横行していることだ。
 「敷金、礼金ゼロ」で入居できると宣伝し、相場より少し高めの家賃を取る。家賃が一ヵ月でも遅れれば、安い日当からようやく買い揃えた生活用具を置いたまま追い出される。
 また、「家賃無料の寮付き」の仕事として紹介しながら、給料の中から、家賃を天引きしているブローカーの実態なども放映されていた。
 米国流のグローバリズムが日本を侵食し、「改革政治」が進められた。競争社会が激化する中で、ワーキングプア、ネットカフェを漂流する若い労働者が全国各地の都市で増加しているのは間違いない。
 トヨタなど多国籍大企業の下でも、「国際競争に打ち勝つためのコスト削減」のために、非正規社員の比率が増加している。中には偽装請負の例も多いと聞いている。

■尊厳と権利取り戻す運動を
 この番組を見た仲間たちと感想を述べ合った。「偽装請負などが大企業などでも広がる中で、非正規社員を組織できるユニオンを組織することが必要なのではないだろうか」などの感想が出された。
 地域によっては、都心の公園などで路上労働相談や「ネットカフェ漂流者」によるデモなども行われるようになっている。
 今の政治によって切り捨てられる人びとが、私たちのまわりに急増している。そんな人たちとの接点を広げ、労働者の尊厳と権利を取り戻す運動を始めたいと強く思った。


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