労働新聞 2007年2月15日号 通信・投稿

金しか頭にない経営者
いいかげんな職員研修、
勝手な勤務変更

高齢者はもうけの道具じゃない

老人ホームヘルパー 松本 潤子

 私は特別養護老人ホームでヘルパーとして働いています。学校を卒業してから今の施設で働き始め、今年で七年目になります。
 昨年、私は痴ほう症の棟の一つのユニットの班長になりました。仕事の責任は重くなりましたが、やりがいや意義も感じています。

介護保険「改正」で混乱
 しかし昨年は、介護保険制度の変更によって何かと職場が混乱しました。
 私の職場では、四月からの機能回復訓練のサービス提供の開始により、新しい人がたくさん職場に入って来ましたが、経営者は「うちの施設でも機能回復訓練のサービス提供します」という体裁を整えることばかりが先に来て、新入職員の研修などはそっちのけです。経験も心構えも十分でない職員が機能回復訓練のサービスを提供するわけですから、当初はひどいサービスが横行することになってしまいました。利用者の方々には、非常に申し訳ない思いをしました。

現場軽視の経営者困る
 こうした人の命と生活を預かる施設の経営者の「金もうけ第一主義」「体裁重視、現場軽視」の姿勢は、別の方面でも混乱をまねきました。
 例えば、このようなことがありました。うちの施設では今まで利用者に夕食を十七時に出していたのですが、「これは世間的には早すぎる」という声が利用者の家族から出ているということで、十八時に出すことに変更されました。これによって、仕事の終わりが一時間後ろに延びることになりましたが、現場では私たちはさほど問題なくこなしていました。しかし経営者が「長時間労働は印象が悪いので、二交代から三交代勤務にする」と一方的に勤務形態を変えてしまいました。仕事のリズムが崩れて大変な思いをしました。
 結局、現場からの不満が噴出し勤務形態は元に戻ることになりましたが、ヘルパーや利用者本位でものを考えない経営者には腹が立ちます。

老人虐待も心配
 また、こうした経営者の姿勢はもっと大きな問題も生んでいます。
 あちこちの施設でよく「高齢者の虐待」が問題となっていますが、私たちの施設でも、公にならない程度の軽度の「虐待」があります。傷・アザにならない程度にたたいたり、動けない利用者の頭に動物のかぶりものをのせてバカにしたり、など。
 そうした場面を見ると、何とかしなけばと思うのですが、そもそも棟の責任者からして利用者をそのように扱っているため、「あの人たちには話してもダメだ、うちの施設はもうダメだ」とあきらめてしまったりもします。そうした自分に対する自己嫌悪や無力感、利用者に対する後ろめたさが重なり、依然は精神的ストレスから体調を崩すこともありました。
 しかし一方、昨年からユニットケアが導入され、私の担当の班の使用者に関してはより目が行き届いたケアができるようになってきたと思います。また信頼できる先輩とも職場の改善について今まで以上に話ができるようになってきました。気分転換もうまくなり、これからは少しずつよい方向にもっていけそうな気がしています。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2007