|
労働新聞 2004年8月25日号 通信・投稿
|
美浜原発で最悪の死傷事故
死者4人、重軽傷7人
国は労働者を何人殺す気か!
効率優先で問題だらけ
工事や修理の危うさ実感
ゴム工場労働者 柏原 幹男
|
8月9日の関西電力美浜原発3号機の高温蒸気噴出事故を知り、「どれだけ人を殺せば気が済むのか…」と、国と電力資本にどうしょうもない怒りがわいてきました。
私は退職するまでの10数年間、原子力発電関連事業の仕事に従事していましたが、この間に見聞した建設工事や保守修理の危うさには、うんざりしていました。しかし政府は、「もんじゅ」の失敗も省みず、現存の設備を使って、燃料に再処理したプルトニウムの割合を増やすプルサーマル計画を推進しています。ひとたび臨界事故などが起きれば、計り知れない被害が国民と国土に及びます。「政府は本気で国を滅亡に追いやる気か」と怒りがこみ上げてきました。
ずさんな管理の実態を体験
現場労働者や技術者は、体力と神経をすり減らし必死になって働いているのですが、経済合理性を優先する資本には通じません。私が工場で品質管理の仕事に従事していた80年ごろのことです。敦賀の建設現場へ納品に行った仲のよいトレーラ運転手が帰ってくるなり、顔を真っ赤にして「われわれが手間ひまかけてつくり、がまんにがまんを重ねて運んでいるのに、現場にはクレーンはなく、ブルドーザで引きずり降ろされ、傷だらけになった。もう原発現場には行かない!」と怒ってきました。
本人は職業人としてのプライドを傷つけられただけでなく、私たち工場仲間の苦労も承知していましたので、許せなかったのだろうと思いました。
そのことを検査に立ち会った国の技官や元請けにも報告しましたが、技官は「私は原子力が専門ではないので分からない」という驚くべき弁解をしました。後で聞くと、農林関係が専門で、人手不足で配属されたとのことでした。
現場検査はそつなく、また当たり障りなく済ます国の技官だけでなく、大手元請け企業と共謀して構造物の強度、材料の材質設定から寿命限度を甘く見積もる電力会社。建設工事の大半は下請け会社任せの元請け。現場労働者へは危険実態の告知や教育、危険予知訓練などなどは形式的に済ませ、労働者の命より工事日程が優先される実態が、この経験を契機にいろいろ知ることとなりました。
放射能漏れはなかったのか?
今回の事故で最も驚いたのは、各紙が報道した「2次冷却水だから放射能漏れはない」ということでした。住民や国民を安心させる意図から出たものでしょうが、人体への影響の程度の差はあれ、「なかった」と言い切れるのか、全容が明らかにされないうちは疑問が残ります。
放射線遮へいによる被爆への安全性と放射能漏れのなさが強調されています。しかし、1次冷却水と2次冷却水を連結する機器の部分(熱交換器内や蒸気発生器の管など)が、優良原発と言われた敦賀原発2号機でも97年に配管の亀裂事故が発生していた経験から、まずは疑ってかかるべきです。
関係諸機関の「大本営発表」に追随せず、白紙の状態から事実に基ついた独自調査をすべきですが、マスコミは「放射能漏れはない」と報道することで、国の重過失を不問に付す役割を果たしているように思います。
全国に散在する52基の原発、それらが毎年生み出す膨大な死の灰(放射性廃棄物)、経済効率優先で制御できない問題だらけの設備。
働き盛りの仲間の労働者を殺害した犯人は、関西電力、大手元請け、マスコミだけでなく、国土破壊と民族破滅を恐れず、今日も原子力エネルギー政策の「市場原理の活用」にまい進し、「経済構造改革」に余念のない小泉政権が主犯なのだと思います。
Copyright(C) Japan Labor
Party 1996-2004 |
|