労働新聞 2003年9月5日号 通信・投稿

トヨタ自動車は1兆円の利益
30%コスト削減の陰で‥
常態化するサービス残業
長時間労働でクタクタだ

自動車部品工場労働者 唐島 清治

 毎日、3時間から4時間の残業で、体は限界状態です。
 私の職場はトヨタ自動車の下請け部品会社で、私は部品組み立てラインで溶接作業をしています。今年の夏は冷夏で例年よりは過ごしやすかったのですが、それでも職場は溶接の熱気も加わって、日中は40度を超える暑さです。そんな中で、連日の長時間残業、休日出勤で体はクタクタ、家に帰り着いても何をやる気も起きません。
 私の会社にも時間外労働を規制する協定(36協定)があります。トヨタ関連企業ではトヨタ自動車をはじめ大手の労働組合は厚労省の指導(努力目標)にそって、残業は年間360時間との取り決めをしています。私のところは、年間540時間の協定を結び、紳士協定として月に45時間の上限を設けています。
 ところが月45時間など守られたことがありません。私たちが頭にくるのは、いろいろ努力したあげく実行できないというならまだしも、会社も組合も守ろう、守らせようという意思すらないのです。ふざけたことに、毎月末に報告される翌月の生産計画が、すでに上限を超える時間外労働を指示している有り様です。こんな状態ですから、紳士協定はおろか36協定も守られません。部署にもよりますが、サービス残業が常態化しています。

執行部は何をしたのか

 昨年のことですが、サービス残業の問題で組合の執行部と論争になりました。営業の代議員がサービス残業が日常的に行われている現状を問題にしたのをきっかけに、他の事務、技術部門の代議員からも同様の報告がされました。それを受けた執行部の発言は、作業者が労働時間を正直に報告していないことを指摘し、組合員の自覚をうんぬんする説教じみたものでした。
 私はさすがに黙っていられなくなって、執行部の姿勢を追及しました。
 −−事技部門と職制のサービス残業については以前から問題にしてきた。執行部は今まで何をしてきたのか。職場で労働法を守らせることは労働組合として最低限の活動だ。そんなこともできないで組合を名乗る資格があるのか。だいたい、会社の管理責任を問題にする前に組合員の責任を問題にするとは何事だ。執行部がそんな認識だからサービス残業がなくならず、36協定も守れないのだ。組合が役に立たないなら、組合員はどうやって自らの健康や権利を守ればいいのか。1ついい方法がある、労働基準監督署に行って告発すればいい。トヨタ自動車がサービス残業で是正勧告を受けている、今この問題で監督署を動かすのは簡単だ。会社は組合が見て見ぬ振りをしているのをいいことに、真剣に問題を解決しようとしていないが、サービス残業は労働法に違反する犯罪行為だ、犯罪者は刑務所にぶち込んだらいい−−と、まくし立てたら、執行部と大論争が始まってしまいました。
 ふだんは他の代議員から浮かないように心がけ、言葉を選んで話すようにしていますが、時々弾みでこうなることがあります。
 少し言い過ぎたなと思いましたが、結果はむしろよかったようです。後から「よく言ってくれた、気持ちがすっきりした」「こんな組合じゃダメだ」と、激励されました。

単価引き下げで業績悪化

 しかし、事態はいっこうに好転しません。むしろひどくなる一方です。その原因の1つに、会社の業績悪化があります。
 親会社のトヨタ自動車は2年連続1兆円を超す経常利益をあげ、まさに絶好調状態ですが、下請け企業の中には納入単価の引き下げ(トヨタはグループ全体でCCC21という原価低減活動を展開し、30%のコスト削減を達成した)により、急速に業績を悪化させた企業もあります。
 私の働く会社もその一つで、昨年は国内単独では赤字決算となりました。業績の回復が叫ばれ、そのためには、あらゆることが犠牲にされてもしかたがない、という雰囲気ができています。
 こうした中で、賃金や福利厚生面の制度見直しがなされ、労働者の権利が侵害されています。長時間労働、サービス残業、年休未消化、出向や転籍などの人事異動も例外ではありません。今までの労使間の合意事項が反古(ほご)にされています。
 御用組合では会社の攻勢に対抗する術もなく、組合員への言い訳を考えるのが精一杯といった状態です。職場の中は、現状に不満をもち、将来に不安を感じている人がほとんどです。すぐ状況を変えられそうにないからとあきらめずに、みんなとよく話し合って、解決の糸口を探していこうと思います。


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