通信機器の卸売業を営んでいる自営業者です。完全失業率が五・四%と最悪を更新したといわれていますが、私の業界も同様で、不況の影響でメーカー、小売店からの失業者が多く出ています。
私と親しい人たちだけで、今年に入ってから10人くらいが失業しました。もちろん、自発的にではなく、リストラや廃業によるものです。彼らはこの不況の中で、職さがしに苦労しています。10月にはパートの女性従業員を全員解雇したという仕入先(メーカー)が2社もありました。
私のまわりだけでこのような状況ですから、数字として表れていない失業者も多数にのぼり、政府が発表しているよりも深刻な時期に日本はすでにさしかかっているのではないでしょうか。「小泉首相になってから、さらに景気が悪くなっている」と、自営業者は皆言っています。
私は小売店に営業でまわるのですが、そのとき「小泉首相を支持するのか」と聞いてみました。不支持が100%です。報道されている70%台の支持率など到底出ることのない数字だと思います。小売店では、今の政府では早期の景気回復策は出せないとあきらめています。政府が構造改革を唱えるほどに、この先の不安感から、消費者の財布のヒモが固くなってきたと感じます。
今、政府は超大企業と大銀行を優先する政治を行っていますが、労働者の働く場がなくなっていきます。どうやって生活しろと言うのでしょうか。大企業と銀行に苦しめられた実際の話があります。
昨年の9月に、私が仕事をお願いしていた金属加工業の工場が倒産しました。そこは大手自動車メーカーの下請けから仕事をもらう、孫請けの仕事をしていました。自動車メーカーから、新規パーツをつくるために設備の増設をするよういわれ、受注を受けるために無理に数千万円の設備投資をしました。もうけの薄い仕事でも毎日多数の仕事があるので、外国人労働者を雇いながら長時間労働をしていたそうです。
こちらの弱みにつけ込んだ下請け会社の担当者からは、発注分のリベートを要求され、毎月払っていたそうです。ところが、自動車メーカー側から、海外工場で部品をつくるので発注を打ち切るといわれました。孫請けの事情など聞いてもらえなかったそうです。以降、資金繰りが悪化し、倒産です。大企業の本質が分かります。社長は行方不明になりました。
銀行、消費者金融の取り立てもひどいものです。従業員の家族まで保証人にして地方銀行、商工ローン、日栄などから借金した会社では、社長に支払い能力がなくなったので、保証人になった従業員に連日の電話攻撃です。
私も知らなかったのですが、ローンを申し込む時に限度額が設定されます。たとえば限度1000万円で設定して、300万円を借りるから保証人になってほしいと言われ、300万円のつもりで印を押すと、保証人の承諾をえずにローン会社は1000万円まで貸し出しできるそうです。この場合も、知らない借金まで保証人にされていました。
商工ローン、日栄については弁護士を通して減額交渉が成立し、いまそれを返済中です。弁護士費用で50万円ほど必要だったそうです。法律は弱い立場の者を守るとはいえないようです。
問題は地方銀行で、保証人の不動産を抵当にしているので、「早期の返済が無理なら家を渡せ」と言って、交渉に応じないそうです。彼は、「不良債権の回収を最優先とする姿勢を強く感じる」と言っていました。
ゼネコンなどには債務免除して数百億円とか数千億円のカネを放棄し、公的資金の注入をしてまで守られる銀行が、弱いところからは容赦なく回収しようとする態度は許せないと思います。