20010905

マイライン
社会保険も知らせず、使い捨て

何とか労働条件改善を

派遣労働者 竹岡 康司


 今年の四月から、マイラインを取り扱う派遣会社の社員として働いています。
 マイラインというのは、皆さんご存じでしょうが、通信電話事業の規制緩和にともなう新規参入の業者に対して、これまでのアダプター設置から、事前の申し込みがあればNTT内の工事のみで電話会社を選択できるサービスのことです。
 私の会社はNTT関連ですので、これまではお客に他の業者の新規登録をさせないための、いわば「防衛」の内容でした。五月からはこれに加え、いったん他社を選択したお客を奪い返す「回復業務」が中心の仕事となっています。
 NTTは、私が勤めている会社以外にも、いくつかの会社にこの業務を請け負わせて、互いに競わせる形をとっています。
 来年三月までの契約で、時給は千六百円、月に換算すればかつかつの収入です。盆休みや正月休みなど長期の休みが多い月は、大幅な収入減になります。
 現在七十人ほどの社員が働いていますが、年齢層はさまざまで、リストラにあった四十?五十歳代の男性もけっこういます。先日飲みに誘われましたが、行ったところは立ち飲み屋、「一人千円ですまそう」と、皆倹約に努めています。百円ショップなどもけっこう知っているみたいで、何というか、一家の大黒柱がやむなく倹約している姿はいじらしいものがあります。休日にアルバイト、つまり、まったくの休みなしで働いている人もいます。
 私の会社は派遣業ではいわば大手に属し、業績もそこそこあげていますが、私の目から見てもおかしなこと、労働者をペテンにかけていることがいくつもあります。
 そのひとつは社会保険です。私の場合は六月に会社に申請し、社会保険証をもらっていますが、そういう制度があること自体、労働者に知らせていないのが実際です。
 また求人の際の募集要項には「一年契約」と明記されていますが、実際は一カ月更新の労働契約となっています。ですから三カ月たっても営業成績が悪い人には、自信が失われた頃を見計らって、公然と「肩たたき」が行われています。営業経験の少ない人への社内教育の実施など、金と時間のかかることは一切はぶき、「一年契約」とウソをついてでも労働者をかき集め、即戦力になる人だけをふるいにかけていくやり方です。
 働いている人たちは、「解雇予告手当」の制度も知らない人が多く、すでに何人かが途中で職場を去っていきました。その中で、小さいことから始めてできるだけ労働条件の改善をかちとっていけたら、と思っています。
 それにしても私の仕事は、いまもてはやされている情報産業の先端といえなくもありません。その情報産業も、私たちのような本当に不安定な身分の労働者が末端で支えて成り立っているのです。
 派遣業の本来の意味は、特定の職業を対象とした業務のはずです。それがいつのまにか労働者の使い捨てに利用され、企業だけがぬくぬくと生き残っていくこの社会のしくみに、日々やりきれない怒りを感じています。

ページの先頭へ