20010625

30%のコストダウン計画
容赦ないトヨタの攻撃

労資協調では賃金も上がらず

トヨタ関連企業労働者 鳥越 竜三


 トヨタは今年から、「CCC 」という三〇%のコストダウン計画を、三年間の目標でグループ全体で取り組むという。この三〇%という数字は驚異的な数字だ。他社を見てみると、日産の「リバイバルプラン」が二〇%、三菱が一五%の削減となっている。
 だから下請け企業は、相当危機感をもっている。トヨタ本社にいわせると、この数字が達成できなければ仕事をおろさないということだろう。
 当然、一次下請けは三〇%コスト削減を、自分のところで全部背負うわけではない。二次、三次下請けにシワ寄せがいくのだろう。ビスをつくっているような末端の中小零細の町工場みたいなところはとてもじゃないが、営業を続けられなくなる。
 今年の春闘は、賃上げ率が二・一六%くらいだ。これはトヨタもホンダも日産も、ほとんど変わらない。トヨタは販売が好調だというのだ。福利厚生関係も、総額人件費の削減ということで、寮費を値上げしたり、食事手当、旅行補助などの圧縮を各社ともやってきている。
 一方で生産設備のほうは、ロボットがどんどん入ってきて、コンピュータも入ってきているのに、職場の労働者の状態というのはまったく改善されないという状況が続いている。トヨタ「CCC 」による三〇%のコスト削減の圧力は、さらにそういう傾向を加速させるに違いない。
 昔からトヨタは「乾いたぞうきんを絞り上げる」というくらい、合理化が厳しいことで有名だ。それに対する労働者や下請けの不満を、「合理化への協力は生活を向上させる」ということで労資ともに吸収してきた。しかし、そういう従来型のやり方では、三〇%コスト削減の達成はおそらく無理だろう。
 この数字の達成のために、トヨタグループ全体の再編成がこれから進むと予想される。「選択と集中」ということで、利益が上がらないところは削るという形で、グループ全体で不採算部門を整理するのだろう。
 しかしそこには労働者がいるのだ。トヨタの下請けは、期間工を大量に雇用している。そこには、日本人もいるし日系ブラジル、ペルー人とか中南米出身の労働者も多くいる。アルバイトやパートの人もいる。まず、そういう人たちが解雇されるだろう。
 今のトヨタ労連は本工組合主義だから、そういう人たちに対する解雇に対して抵抗しないのは目に見えている。労働者の中の弱い立場の仲間から、真っ先に犠牲にされる。弱肉強食の労働者攻撃が、中小零細含めて繰り広げられるのではないかと、危機感をもっている。

これが労働組合のやることか!

 トヨタ各社は、二〇〇〇年度はほとんどのところが増益だ。一時金もここ二?三年同じくらいの水準だ。まだ、危機感が職場全体に伝わっていないところもある。だが、日産とか三菱のリストラの話を職場の仲間は報道で知っている。同じ自動車メーカーだから他人事だと思ってはいないから、いつかトヨタも同じようになるのではないかと感じている。日産は、あれだけ労働者のクビを切って利益を上げているわけだから。
 問題なのは労働組合の対応だ。こうした状況にもかかわらず、基本は参加型路線であり、いっそう労資協調にのめり込んでいる。たとえば、春闘時期にもかかわらず、職場集会で品質向上とか生産性向上を取り上げ、労働者に「自分たちの職場を見直して会社に利益を上げるような提案をしよう」と、呼びかけているのだ。それを労働組合としてまとめて、会社に提出している。まったく情けないが、こんな取り組みが春闘のメインになっているのである。
 こうして組合員を経営側の意識に染め、一人ひとりに強要している。職能給が導入され、意見を出さなかったり、あるいは参加しなければ、それで自分の賃金は少なくなり、その上にらまれるのである。組合幹部はそういうやり方を駆使して、経営側に恩を売っているのである。
 こうした組合に対して、職場の不満は高まっている。特に中高年の労働者は不満が強い。下請けには中途で入社した人が多く、ある程度組合運動を知っている人もいる。そういう人たちから見れば「これは組合か?」「組合がやることじゃないだろう」という不満がある。
 組合が経営側におもねるという形で、実際に賃金が上がるかといえば、上がってはいない。だから、職場ではこんな組合で「労働組合」という看板を掲げていいのか、赤旗を掲げた方がよっぽど効果があるんじゃないか、という話さえ出てきている。

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