980925


共産党

安保も天皇制も容認

政権欲しさに屈服深める




 共産党の安保容認論は、各地の反基地運動を闘う人びとを始め、各界に怒りの声を呼び起こしている。また、不破委員長は十一日、将来にわたり天皇制を容認する発言も行っている。政権に目がくらみ、保守派との連合のために、保守派にこびへつらう政策転換を急テンポで進めている。共産党の反動的策動を許してはならない。前号に続き、批判の声を紹介する。

安保「凍結」は支配層を利する

琉球大学教授・高嶋 伸欣氏

 「共産党よ、お前もか」「とうとうそこまで変わったか」という思いだ。いよいよ政権が近くなったので、妥協的になったな、と受けとめている。しかも、私は共産党には一定の評価をしていたので、驚いている。

 共産党は「暫定政権は安保を現状より改悪しない」と言っているが、新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)も、安保条約を前提にしているものだ。この前提を批判しないのでは、新ガイドライン反対の運動をしたとしても、腰が引けたものになる。そもそも、関連法が制定される前から、米艦船が各地の港に寄港するなど、既成事実化が進んでいる。全国が沖縄化されるわけで、それをどうするのか。

 共産党は、かつての社会党よりもはるかに、自らの原則を大事にする政党だったはずだ。ところが、最近は路線転換のスピードが非常に速い。

 共産党が最近得票を伸ばしているのは、自民党や他の野党がお粗末だというように、タイミングがよかったからだ。国民の中にも「やむを得ず」で投票している面がある。ところが、このように急に路線転換するのでは、かえって政党への不信感を招き、マイナスになるのではないか。

 沖縄の社民党は、村山政権が安保条約を認めた当時、中央との関係を一時凍結した。沖縄県民からすれば、それが当然だ。しかし、今のところ、沖縄の共産党にはそういう動きはない。ここに共産党の体質が表れている。

 沖縄は知事選が目前だが、今回の路線転換は、保守の側から「不一致ではないか」と突かれる可能性もある。まったく不用意だ。

藤岡らにエール送る共産党

 天皇制容認論も、似たようなものだろう。とくに共産党は、戦前から天皇制に対して勇敢に闘ってきたし、それが戦後も党への信頼を支えてきた面があるので、なおさら重大だ。それを自覚しているのだろうか。

 しかし、党内で議論が起きているという話はきいたことがない。これから改めて、党の中で議論ができるとも思えないが。

 教科書問題について、藤岡信勝氏ら「自由主義史観」グループが侵略戦争を美化していることに、私たちは疑問を提起している。しかし、「共産党も天皇制を認めているじゃないか」と、「天皇には責任はない」としている彼らに利用されそうな気がする。

 藤岡氏らが戦争についてねじ曲げた発言をし、それが一定通用しているのは、昭和天皇の戦争責任をハッキリさせなかったところに原因がある。共産党の今回の方針転換で、それがまたうやむやにされるのではないか。

 天皇制問題もこうなると、日本国民だけでなく、アジアの人びとが本当にガッカリする。アジアの人びとからすれば、日本国内に批判の声があることが、一つの拠りどころだったはずだ。それが、国会レベルでは反対の声が全くなくなることになるわけで、日本への警戒感はますます強まるだろう。とくに、中国との関係が心配だ。

 やはり、日本国内で安保破棄や歴史認識、戦後補償実現などの運動を強めるしかないだろう。


これで幻想はなくなる

人権法研究者・萩原 重夫氏

 私の場合、これまでも共産党にはまったく期待していなかったので、今回の安保「凍結」論も「どうぞご自由に」という感じだ。

 彼らの裏切りは今に始まったことではない。彼らの核兵器に対する態度一つでも、以前とはずいぶん変わっている。以前は「米国と社会主義国の核兵器は違う」と言っていたが、いつの間にか引っ込めた。

 また、ついこの間まで「安保は保守と革新の分水嶺」などと言っていたが、今度は「凍結」だ。

 このように、自らの原則をなし崩しにして、それに口をぬぐい、「主張は変わっていない」などと言っている。社民党もそうだったが、何をかいわんやだ。何のために政策をもっているのか、政党の意味がなくなっている。

 こうした歴史を振り返れば、共産党の裏切りの正体は分かっている。

 今回の共産党の主張に対し、反基地運動を闘う人びとの中に反発があるのは当然だ。しかし、国民が共産党に早く見切りをつけ、自前の運動をするという意味で考えれば、共産党への幻想がなくなるのはよいことではないだろうか。


資料 共産党の天皇制容認論

「共産党がはいる民主連合政権ができたら、天皇の前で認証式をやるのか、ということでしたが、それには、もちろんやる、と答えました。

 われわれはいまの憲法のもとで、いまの憲法をきちんとまもっていくかぎり、天皇の存在とその役割を否定しない。いま問題にしているのは、憲法になじまない役割を天皇に過大におしつけるという問題で、そういう点はいまもチェックする役割をはたしています。

 こういう立場ですから、暫定政権で天皇制との矛盾はまったく問題にならないと思います。民主連合政権でも問題になりません。

 われわれは民主連合政権の段階で憲法の問題に手をつけるつもりはありませんから」

(九月十三日付「赤旗」、日本記者クラブでの不破委員長講演より)


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