共産党
共産党の不破委員長は八月二十五日、共産党が参加する暫定政権においては、日米安保条約を容認することを明らかにした。国の進路にかかわる基本問題で、支配層に完全に屈服したのである。この時期、共産党は政権欲しさに米帝国主義とわが国支配層に恭順の意を表した。こうした共産党の策動を打ち破ることなしに、わが国の自主的な進路、アジアの平和と安定をつくることはできない。各地で、米軍基地反対や平和運動を担う人びとから、厳しい批判が噴出している。
反基地の国民運動が大事
厚木基地爆音防止期成同盟委員長・鈴木 保氏
印パの核実験を契機に、核廃絶や核軍縮の世論が高まっている。いま大事なことは、核廃絶や基地撤去の運動を強め、各国政府を突き上げることだ。
社会党もかつて、九四年に村山首相が「安保も基地も全部いい」と言ってしまった。今度は共産党が「安保凍結で暫定政権」と言った。
共産党だからといって嫌うわけではないが、国民はそういうことを願っているわけではない。国民は平和で核兵器のない社会を願っているのであって、政党はそれに向かって進むしかないと思う。
政権構想は、共産党としては一つの方法論だろうが、国民運動を組織するなど、もっと地に着いたことをやらなければ、政党としてはダメだ。この構想は反基地運動にはマイナスだ。だから乗るわけにはいかない。
先日の参議院選挙でも、新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)の問題には誰も触れない。みな景気や消費税ばかりだ。これでは政党の違いがますます見えなくなり、国民の政治不信はさらに深まり、自民党政治が続くことにもなりかねない。国民運動を組織する政党が切実に求められている。
厚木には、米軍機の爆音被害という具体的な問題がある。われわれは飛行差し止めを求める第三次訴訟を起こした。政党がどうなろうが、今後も運動を継続させていく。
かつての社民党と同じ
長崎県平和・労働センター事務局長・坂本 浩氏
共産党が安保「凍結」論を打ち出したことは、少なくともわれわれの運動にはまったく影響はない。
社民党も村山内閣発足時、安保堅持へと基本政策を転換した。当初は、党としては安保反対で、連立政権としては堅持するというものだった。しかし、久保書記長(当時)が「そういうわけにはいかない」と、臨時大会を開いて党の政策も転換した。共産党も同じことだろう。
ただ、「思いやり予算」のように、安保条約にもない超法規的なことが行われているのが現実だ。その意味では、安保を破棄する前にそれらの超法規的なことをなくすというのであれば、政党の主張としてはありうるかもしれない。しかし、大衆運動はそうはいかない。
長崎では、米軍のホバークラフト基地の移転問題がある。この基地は、すでに騒音問題などをかかえているものだ。移転候補地の西海町長は調査を容認している。地元地区労が住民団体と協力して学習会を開くなど、すでに運動が始まっている。
新ガイドラインを先取りするこうした動きに対し、われわれはこれからも反対運動を継続していく。
民衆の力にこそ期待できる
沖縄島唄歌手・大工 哲弘氏
共産党の政権構想については期待とガッカリが半分というところで、もう少し様子をみたい気もする。
政権をとって基地や安保をなくすという公約を実現してくれるのであれば、沖縄県民としてはうれしい。だが、社民党の二の舞いになりはしないかと心配なところもある。
連合政権ということになると、どうしても「一歩引いて」ということになるが、唯一安保に反対してきた共産党としては、情けないことだ。
全国で、自分たちの町を変えようという動きが広がっている。政治家や政党ではなく、基地はいらないという民衆の力に期待するしかない。
順序を違えた政権構想
熊本大学学生・末田 純一氏(仮名)
政党が政権を取ろうとするのは当然だ。
しかし、今回の共産党の政権構想は、順序を間違えているのではないか。政策を実現するために政権を取るのが筋で、政権を取るために政策を犠牲にするというのはおかしい。
「共同」という美名で党の独自性が見えなくなり、反自民というだけで他の政党と言うことが同じになったら、有権者も共産党より大きな政党に投票した方が有効だと思うだろう。
結局、共産党の「努力」はむくわれず、あまり得にはならないのではないか。
ただ、この「政権構想」を街頭や大学などで活発に宣伝しているようにはみえない。共産党や民青同盟も、組織力が弱っているのではないか。
私は友人と共に、学園祭で沖縄の実情を知らせる企画を準備している。沖縄と連帯する運動を、今後も続けていきたい。
資料 共産党の安保容認論
「(暫定)政権としては、『安保条約などの問題での立場や見解の相違は留保』する、ということ以外にありません。
安保条約の問題を留保するということは、暫定政権としては、安保条約にかかわる問題は「凍結」する、ということです。つまり安保問題については、(イ)現在成立している条約と法律の範囲内で対応する、(ロ)現状からの改悪はやらない、(ハ)政権として廃棄をめざす措置をとらない、こういう態度をとるということです。」(八月二十五日付「赤旗」)