日中平和友好条約20周年
日中友好議員連盟会長・林 義郎氏に聞く
本年の八月十二日、日中平和友好条約締結二十周年を迎えた。江沢民・中国国家主席の来日は当面延期されたが、アジア経済危機のなか、アジアの平和と発展を実現するためにも両国の果たすべき役割はますます重要になっている。アジアとの共生を実現するためにも、」二つの中国」策動などに反対し、国民的な日中友好運動の発展が求められている。条約の意義や今後の日中関係について、林義郎・日中友好議員連盟会長に聞いた。
今年は日中平和友好条約締結二十周年になるが、日中国交正常化二十六周年でもある。
私は国交正常化直後に北京を訪問し、周恩来首相にもお目にかかり、お話を聞いたことを、今も昨日のことのように覚えている。
日中平和友好条約は、七八年に日中両国が平和と友好を維持していこうというの固い絆(きずな)を結んだ条約だ。この二十年間、両国関係の発展は順調であった。かつての戦争当時の憎しみを忘れ、お互いが平和のためにやっていくという、高い観点から非常によかったことではないか。
日中両国の関係は「一衣帯水」といわれ、両国の二千年の交流からすれば、この二十年は百分の一に過ぎない。歴史の一コマかもしれないが、二千年の中でも非常によい一コマではないかと思う。条約締結のために努力した園田外相(当時)など、先人の努力もたいへんなものだったと思う。
われわれは日中共同声明、平和友好条約の精神に基づいて、これからも友好を深め、両国の友好がアジアの平和、ひいては世界の平和に貢献するものだと考え、その努力を続けたい。
アジアで両国の役割は重要
昨年七月にタイの通貨バーツが暴落し、次々と韓国、フィリピン、インドネシアに波及し、通貨危機がアジアの国々を駆けめぐった。これについて、国際通貨基金(IMF)の協力・支援があったが、基本的には、危機に陥った国々が自らの力で回復するしかない。
そうした中で、経済大国である日本や中国の役割は、アジアの安定のために非常に大きな重みを持っている。日中友好議員連盟は、五月に訪中し、朱鎔基総理や人民銀行副総裁などに面会した。そこでアジアの経済危機については、日中がそれぞれの国のことだけでなく、アジア危機の安定のために協力し、責任を持ってやっていくことが必要だと話し合った。朱総理もそれに同意し、人民元の切り下げをしないと約束した。私は、その決意を高く評価したい。
しかし、経済は決して決意だけで解決するものではない。日本も不況で、銀行の不良債権処理をどうするかという問題があるが、安定的なアジアの基軸通貨国となる必要があり、そのための努力が必要だ。
アジアでの決済機構づくりを
アジア経済の安定のため、日中両国の努力が必要だ。とくに円がアジア通貨の中心になる。つまり、中国の人民元とともに、アジアの決済機構をつくっていくということを考えていかなければならない時期になった。
ヨーロッパの通貨統合には、EC(欧州共同体)発足当時からの長い道のりがあり、アジアではすぐにはできない。しかし、来年一月のユーロの発足でドル、ユーロのせめぎ合いが始まると、そのはざまで通貨変動のしわ寄せを受けたら、力のない国々はどうしようもない。例えば、インドネシアのように、通貨が暴落することになる。インドネシアの場合も、すべてインドネシア政府が悪かったわけではない。
アジアでも、いちどに通貨を一つにするのではないにしても、通貨協力をすすめ、日本の東京市場でアジア通貨の取り引きが行われることを考える必要がある。そのためには、円決済を増やすことが第一だ。そのためにやらなければならないことが多くあるが、日本にとってもアジアの安定なくして、日本の繁栄はありえない、という気持ちでがんばりたい。
これからのアジアの繁栄のためには、日本から中国への技術移転、日本での中国の技術者訓練などが重要だ。地味なことだが、今後のアジアの繁栄と安定のために必要なことだ。
アジアの経済の発展のためには、日本も先進国としての責任がある。もちろん、日本自身の技術も発展させなければならないが、日本だけでなく、相手の国のことも考えることが重要だと思う。