自主・平和・民主のための広範な国民連合事務局長・加藤 毅氏に聞く
橋本政権は、日米防衛協力の指針(新ガイドライン)を具体化する有事法制案の国会提出をもくろみ、多国籍化した大企業の利益を守るため、国民犠牲の「六大改革」を進めている。政府の対米追随、大企業優先の政治に対し、国民各層は怒りを強め、電器商工組合、トラック協会など中小商工業者は危機突破集会を繰り返している。また、労働法制の規制緩和に対し、すべてのナショナルセンターが反対している。ガイドラインに反対し、全港湾や航空労組も闘っている。政治の根本的転換を実現するため、各界各層の人びとが連携した壮大な国民運動が、ますます求められている。連携した国民運動の発展のために尽力している自主・平和・民主のための広範な国民連合(以下、国民連合)事務局長の加藤毅氏に聞いた。
国民連合、また国民大多数がまず感じていることは、政府の内外政策の自主性のなさと、深刻な不況への無策ぶりではないだろうか。
日本の外交には、何の自主性もない。最大の問題は二年前の日米安保共同宣言、安保再定義による新ガイドラインと関連法案だ。中国をターゲットにする米国の世界戦略に沿って、自治体や民間も含め、総力をあげて米国への軍事協力に動員しようとしている。戦前の侵略戦争や植民地支配に対する反省も十分でなく、閣僚から侵略戦争美化発言がでてくるような日本が、さらに米国に追随して軍事的役割を果たせば、日本はアジアでいっそう信頼を失うだろう。
アジアの金融危機に対しても、米国の横やりで「アジア基金」構想をすぐ引っ込めるなど、アジアの期待に何一つこたえなかった。
在日米軍基地は圧倒的に沖縄に集中している。戦後五十数年もたって、沖縄は占領状態と変わらない。沖縄の圧倒的世論は基地撤去で、沖縄県民は総決起大会を開いたり、最近では名護の市民投票で基地反対票が多数となった。しかし、政府は沖縄の声に耳をかさない。このような状況で、日本は独立国と言えるだろうか。
これを根本的に変え、自主的で平和的な立場に立たないと日本の将来はないというのが、国民連合の基本的な立場の一つだ。
一方、国内の景気は深刻だ。企業倒産は最悪で、失業者も急増している。商店街もシャッターが降りたままの「シャッター通り」になり、急速に廃業が増えている。中小経営者は、やっていけずに自殺に追い込まれている。また農村も休耕田が広がっている。国民各層に、深刻な不況が響いている。
この状況に対し、政治の現状はというと、三十兆円という巨額な税金を銀行救済に投入しているように、国民無視、大企業優先だ。政府は銀行にはカネをつぎ込み、消費税率や健康保険料を上げ、福祉を切り捨てるなど、国民負担を増やしている。国民からは収奪し、政財界は汚職を続けている。
橋本のいう「改革」政治は、大企業が世界中でカネもうけをするために、外国、とくに米国に国内市場を開放し、規制緩和を行い、日本の経済構造を変えるというものだ。大規模小売店舗法(大店法)の廃止、労働基準法の改悪などだ。このような大企業優先の政治が民主主義と言えるだろうか。国民連合は、国内政治・経済・社会生活のすべてにおいて民主主義が必要だと考えている。
連合にこそ活路がある
現在の大企業優先の政治に国民は非常に不満をもっているし、同時に二十一世紀の日本のあり方を考え、アジアで孤立し米国に追随することに対して、階層を超えた不満がある。
しかし、たった一握りの大企業が政治を牛耳れるのは、国民各層がバラバラに分断されているからだ。大型店の問題で商人が危機突破集会を開いても、残念ながら現状では労働組合は傍観している。労働組合がストライキで支持すれば、事態は大きく変わる。
国民連合は、国民各層の連合を訴え、それぞれが階層の壁を超えて支持し合い、連合して国民運動を発展させるために活動している。そこが国民連合の最大の特徴の一つだ。さまざまな諸困難は政治的に解決する以外ないが、永田町の様子を見ていても展望はなく、自らが行動を起こす以外ない。まずはお互いの壁を取り除くために意見交換をしたりして、何とか共同行動を実現していきたい。
国民各層が、「自主・平和・民主」という新しい日本のあり方に向けて、団結して運動を強めなければならない。共同して、デモや集会を行うなり、政府や自治体に押しかけるいう行動を強める必要があり、そのために国民連合は努力していきたい。
強大な国民連合づくりを
各地の国民連合はあくまで自立した組織だが、おおまかに、今後の国民連合の闘いについて触れてみたい。
まずは沖縄の問題で、県民の基地撤去の要求に国民の関心や共感は広くある。沖縄では普天間基地の無条件・全面返還の声が強まっており、平和行進に参加し、これを国民全体の声にしていきたい。多くの人と共同して参加したい。
第二番目だが、新ガイドライン関連の有事法制には、国民各層に反発がある。基地関連自治体が国に申し入れを行っているが、東京や大阪の国民連合も、空港や港を米軍に使わせないよう、署名や自治体への申し入れを行っている。地方住民も動員されるので、地方自治体のところでの運動を強めていきたい。
三番目に、アジアとの平和的な関係だ。二十一世紀を迎え、日本はアジアとの平和的な関係抜きに生きていけない。そのカギになるのは日中関係だ。今年は平和友好条約締結二十周年にあたるので、各地で二十一世紀の日本とアジア、中国との関係を考えるようなシンポジウムなどを開催したい。
四番目の国内問題では、国民各層の連携を重視して、生活や営業の問題で運動を広げたい。例えば、大店法廃止に反対する中小商業者の要求を支持し、労働運動と結びつけたい。佐賀の国民連合は、地元のアサヒコーポレーションの経営危機に対して、関連下請けの営業や労働者の生活を守るよう、自治体に要請を行っている。
国民連合は政党ではなく、政党をめざすものでもないが、いろいろな階層の人びとが参加しており、引き続き多くの人の参加を求めたい。現実に力がなくてはダメで、会員を現在の二倍に増やしたい。
国民にはエネルギーがあるし、早晩、国民的な運動が表面化するだろう。それを具体化するには、みなが手をつなぐことが可能であることを、事実で示す必要がある。国民連合を増やし、もっと多くの県組織をつくり運動を広げれば、多くの人びとは「国民運動は可能だ」と思うだろう。
さまざまな運動を強めながら、強大な国民連合組織をつくっていきたい。