中小建設業・東京 吉沢 和之氏
最近、関東の建設業で自殺者が百人近くも出ている。その多くは、不況の波をかぶった中小零細業者が不渡りや借金で追いつめられたことも関連していると思われる。その上、元請けが工事が始まってから値引きしてくるような詐欺まがいの契約もある。東京の建設業者が元請け会社前で抗議の焼身自殺したのは、こういう状態の象徴的事件だ。建設業界は、元請けから下請け、親方、職人へしわ寄せが行われている。
この間、建設業で働く人間は五万人が減った。その多くはゼネコンでのリストラによるものだが、中小零細は仕事が減って、銀行の貸し渋りもあって倒産している。
しかし、会社数は、八八年に五十万事業所だったが、現在は五十七万に増えている。これは中小が倒産し、零細が増えているからだ。
問題は、大手ゼネコンと背後にいる銀行にある。大手ゼネコンはバブルで不良債権をつくったが、それをあおったのは銀行だ。銀行は、ゼネコンに不良債権を回収させるために、ゼネコンの役員送り込んでさえいる。
結局、銀行への三十兆円の税金投入と十六兆円の経済対策のうちの公共事業は全部、銀行救済に過ぎず、中小零細や職人には恩恵はない。しかも、その銀行は貸し渋りで、われわれには融資しない。われわれの税金で銀行を救済し、その銀行は金を貸さない。こんなバカな話はない。
公共事業にしても、かつてのように波及効果がないだろう。なぜならゼネコンが不良債権処理にまわしてしまうので、中小、親方、職人には利益がこないからだ。
また公共事業といっても、国民生活には関係ないものばかりが増えている。いったい四国と本州の間に橋を何本つければ気がすむのか。諌早湾干拓工事なども、いい加減にしろと言いたい。
しかも消費税引き上げや社会保障の負担増などで、国民全体の消費マインドは落ち込んでいる。だから消費税の廃止や所得税減税、あるいはわれわれの手間賃を上げるなど、国民全体の購買力を大きくする必要がある。これこそが、最も有効な不況対策になる。
建設業界では、これからますます中小零細が淘汰(とうた)されていくだろう。そして、大手ゼネコンはコストダウン要求をますます強めると思う。こうした状況のなかで、いつまでも黙っていては、生活はよくならないばかりか、経済も発展しない。
橋本政権のもとで不況に苦しみ、規制緩和などで犠牲にされている他の業界や労働組合などと、もっと連携して闘うことが、必要だと思う。