980405


銀行に30兆円、景気対策に16兆円

貸し渋る銀行に税金使うな

元日本消費者連盟会長 竹内 直一氏


 橋本政権はすでに、銀行救済のために国民の怒りの声を押し切って三十兆円もの税金を投入することを決定し、直ちに実施し始めた。また財界の要求に沿って情報・通信分野などの公共事業を中心に、大企業優遇の十六兆円超の景気対策を発表した。三月下旬には、大企業の株価維持操作(PKO)まで行った。まさに大企業の利益のためにはいたれり尽くせりである。他方、財政構造再改革法に沿った九八年度予算案で社会保障、教育などの歳出は大幅削減されており、国民には昨年以上の大幅負担増になっている。長期の不況、銀行の貸し渋り、リストラなどによって倒産は激増し、労働者は街頭に放り出され、史上最悪の失業率となっている。「改革政治」で犠牲にされている中小商工業者などは、次々に怒りの声を上げている。政府の大企業優遇、国民犠牲の政治を転換させるために、労働者をはじめ国民各層は、いっそう広範に連携し、政治の転換を求めて国民的闘いを実現しよう。 


 最近の政策をみると、腹立たしいことが絶えない。

 そもそも銀行へ三十兆円もの税金を投入するなどとんでもない。銀行も民間企業に過ぎない。しかも、中小企業への貸し渋り問題があるように、国民に金を貸し出さない銀行に、どうして国民の税金をつぎ込むのか。大企業優遇で国民に犠牲を押しつける政治そのものだ。

私は、わが国の財政、経済問題は大企業優遇の不公平な税制につきると思う。

 まず大企業の租税優遇措置は即刻撤廃すべきだ。この措置は戦後の復興期につくられたもので、もう戦後五十年以上もたっている。本来の目的である戦後復興はとっくに終わっている。

 また土地や有価証券の譲渡所得の分離課税などさまざまな不公平な税制があり、こうした措置をなくせば、約二十三兆円の増収になると試算されている。しかもそれによって毎年約四兆円が新たな税収として上積みされる。だから消費税も必要ない。

 減税一般は悪いことではないが、法人税の減税などとんでもない。法人税とは、企業が経費を除いた後の利益にかけるもので、いくらかけても問題はないはずだ。企業家が高い法人税ではやっていけないなどというが、大部分の勤労者は給料から所得税を天引きされており、生活がきつくても関係なく税金は持っていかれている。

 しかも政府は、国家財政について完全に国民に公開していない。本来、国家の歳入歳出は税金であり、国民の税が使われるわけだから、その内容を国民に公開すべきだ。そもそも憲法では、主権者は国民、つまり納税者となっている。その国民をだます政治は認められない。

 人間らしい生き方を求めると、どうしても今の政治ではそれができない。一刻も早く政治の転換を望みたい。

 私が常々おかしいと思っているのは、政府は景気回復をいい、それが最高の命題のようにように主張していることだ。もちろん景気がよくなれば、商売繁盛でけっこうなことである。だが国の経済全体を考えた場合、景気をよくするという中身を検討しないで追求するのは正しい政治ではない。

 政治は、われわれ国民の生活をよくするという方向をまず定め、そのための経済の方向性を出すべきである。今の経済指標は内容は問わず、経済活動が膨らんだからよい、あるいは膨らまないので悪いという評価でしかない。

 その一方で環境汚染、自然破壊が進んでいる。例えば、公共事業によって大手ゼネコンをもうけさせるために、国民の望まない道路や橋をつくっている。首都移転などその最たるものではないだろうか。本来、われわれの暮らしに役立つものと大企業のための公共事業をごちゃまぜにして、国民をごまかしている。


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