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問題多い大店立地法

地域での闘いこそ商店街守る

静岡市商業近代化協議会事務局長・村松 孝次郎氏に聞く


 六大改革を進める橋本政権は二月二十四日、大規模小売店舗法(大店法)を廃止し、新たに大規模小売店舗立地法(大店立地法)案と都市計画法改正案を閣議決定した。新法では店舗規模や営業時間などの「経済的規制」は行われず、生活環境などの「社会的規制」のみが「調整」の対象となる。大型店の出店はいっそう野放しとなる可能性が高く、中小小売商と地域経済にとって大きな打撃となる。大型店の出店に対して、商店街や中小小売商の利益を守って長年闘っている静岡市商業近代化協議会の村松孝次郎・事務局長に聞いた。


 われわれ静岡市商業近代化協議会(近代協)は、二十年前のイトーヨーカドーの出店表明を契機に発足した。既存の商店街組織とは違う運動のための組織で、市内のほとんどの商店が加盟した。

 近代協の二十年の活動を振り返ると、イトーヨーカドー、コンビニ、ジャスコなどの出店規制の闘いが、代表的なものとしてある。

大型店との「十年戦争

 イトーヨーカドーは七七年、三万五千平方メートルという大規模な出店を表明した。この時、商業活動調整協議会(商調協、自治体・商店街・出店企業が出店をめぐって調整・協議する場)でのヨーカドーの出店表明を実力阻止し、さらに商調協の機能をなくせば何も進まないだろうと、われわれは商調協の委員を辞任した。

 ところが、商工会議所が商調協の委員をデッチあげて結審を強行した。これに抗議し、会議所の常議員会のバスの前に座り込んで四人の逮捕者を出すなど、「十年戦争」といわれる激しい闘いがあった。

 ヨーカドーも世論を動かそうとして、「出店賛成署名」を八万人くらい集めた。われわれもそれを上回る反対署名をやろうと、十万人ぐらいの署名を集めた。結局、ヨーカドーは約五千五百平方メートルに縮小して、八六年に開店した。そこで、開店前に四項目(店舗面積・開店日・閉店時刻・休業日数)以外のチラシの規制なども要求した。

 このように絶対に商調協への出店申請を受け付けさせない運動が、商業者仲間にさえ「静岡方式」としてセンセーショナルに扱われた。行政にはもちろん、憎らしい存在とされたが。

 また、後に市長がホゴにしたものの、コンビニエンスストアの出店に関する市の要綱をつくらせ、コンビニの出店を規制した時期もあった。

 最近では、九六年からジャスコの出店問題がある。大店法の規制緩和で、地元の意見集約会議で規制しても大規模小売店舗審議会(大店審)がそれをひっくり返してしまう。約三万平方メートルの表明に対して、このときの意見集約会議は「凍結」の結論だったが、大店審は約一万九千平方メートルで結審した。だから大店審への不信が強い。だが、これは環境問題もからめたわれわれの運動によって、市の事前審査の三年の期限が切れて失効、やり直しとなった。

 結局、大規模店は売り上げを根こそぎ本社に持っていってしまって、地元の活性化にはならない。個人の商店が稼げば、それは同じだけ他の商店に戻ってきて循環する。私はこういう商売(時計・宝石店)だが、それ以外では消費者だ。

商店は町づくりの先頭に

 これらの運動の成果として、出店希望者が商調協へ申請する前に地元の商業者と交渉する「事前商調協」(事前合意機関)をつくらせた。その結果、現在は大型店の規模も小さく、立地も分散させるなど適正に配置されており、商店街に回遊性がある。これは、無秩序にどんどんつくらせた浜松市と違う点だ。この仕組みは、今後も活用していきたい。

 こうして静岡の場合、大型店の出店が厳しかったのでお年寄りが経営する小さな店が残ってきた。しかしこれが最近になって、大型店の影響が出始めているのと、不況とで次々につぶれている。

 二十年前からハッキリしていたのは、「大型店は市民の敵」ということだ。大店法は本質上は「出店促進法」で、大型店を出店させるための儀式をやっていたに過ぎない。

 しかし、大店立地法にも問題がある。大店立地法は「環境規制」とかいっているが、環境庁や自治体ならともかく、「住環境」のガイドラインを通産省がつくるというのはおかしい。新法は出店を前提にした法律で、法律の仕組みも流れも、大店法と何も変わっていない。ただ、「中小小売業の事業確保」(大店法)という目的が削られることを危ぐする声は大きい。

 都市計画法改正案も重大だ。これは市民主権、地方自治を町づくりにどう反映させるかという点で、まだまだ宣伝不足だ。住民が気づかなければ大型店は野放しになる可能性があるし、それは町全体に影響する。商店も努力する必要があるが、通産省の言うように中小小売商に大型店とまともに競争しろというのは、中小小売商は「寝るな、休むな、儲けるな」ということだ。これに付き合ったら死んでしまう。

 しかし、最初から商人があきらめてしまっては、大型店の野放しの出店を許してしまう。大店法廃止でシュンとなるのではなく、逆に「チャンス」ととらえ、地元でどう闘い規制していくか、運動こそが肝心だ。その点、荒川の出店要綱には地元の観点があるし、環境アセスメントが適用されていて、大型店の痛いところを突いている優れたものだ。荒川のような要綱は、静岡でも市民とともにつくってゆきたいと思っている。

 私たちには体を張った歴史もあるし、「いよいよ出番だ」という思いだ。「静岡を愛する地域生活者として、街づくりの先頭にたとう」が近代協のスローガンだ。


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